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肌の老化予防


 強い紫外線(UV)により皮膚が赤く腫れてやがて黒くなることは子供達にとって夏の風物詩といえます。紫外線が表皮の基底膜に存在するメラニンを作る細胞(メラノサイト)に作用すると、メラニンが作られ、メラニンは角化細胞へと移動して、「日焼け」という状態となります。若い肌では単なる日焼けであっても、長い間、何度も紫外線に暴露されると、あるいは加齢に伴って皮膚の老化が始まると嫌なシミとなります。さらに皮膚の弾力性が失われ、皮膚のコラーゲン合成が起こり、真皮細胞外マトリックスの構造が変化してシワとなります。

 メラノサイトによるメラニン合成を抑制し、生成したメラニンを消失させることは、シミやソバカスの防止になります。チロシナーゼ酵素によるメラニン合成を阻害することは美白にとって最初のターゲットであるといえます。このために、チロシナーゼ酵素に対して阻害作用を持つ多くの「美白剤」が作られています。スキンケア化粧品であり、UVケア化粧品です。
 糖尿病や加齢に伴って、糖がたんぱく質に化学的に結合し、advanced glycation-end products (AGEs)と呼ばれる分子で修飾されたたんぱく質が生じます。これが老人性色素斑と呼ばれるシミの素となります。メラニンとAGEsの両方でできるシミもあります。AGEs修飾たんぱく質は食細胞のマクロファージに作用し、前炎症性サイトカインであるTNF-αなどの産生を誘導します。TNF-α産生がきっかけとなって炎症が生じます。

 皮膚の水分保持機能は瑞々しい肌を維持するために必要です。角質の水分保持に関与する水溶性成分として、天然保湿因子(natural moisturizing factor, NMF)があります。これはアミノ酸類(40%)、ピロリドンカルボン酸(12%)、乳酸塩(12%)、尿素(7%)、アンモニア(NH3)+グルコサミン+尿酸+クレアチニン(1.5%)、クエン酸塩(0.5%)、ミネラル(Na+ 5%、K+ 4%、Ca++ 1.5%、Mg++ 1.5%、PO4 0.5%、Cl- 6%) (計18.5%)、糖+有機酸+ペプチド+他未確認物質など(8.5%)からなります。オフィスや家庭の環境が年々変化し、乾燥肌が増える傾向となっており、瑞々しい肌を維持するために、高保湿・高機能を求める声が高くなっています。べとつかない高保湿成分の開発が望まれており、植物抽出エキスも候補となっています。

 プロアントシアニジンを多く含むぶどう種子エキス(GSE)をモルモットに経口投与すると、紫外線照射すると、メラニンを含む細胞数が減少し、日焼けが防止されること(1)。紫外線照射で誘導されるmatrix metalloproteinase (MMP)やメラニン合成が数種のアンチオキシダントによって阻害され、コラーゲン合成を防止すること、これにより光による老化が抑制され、皮膚のダメージが弱められることが知られている。プロアントシアニジンはチロシナーゼの活性やメラニン合成に関与する因子の発現を抑制すること(2)。黒色腫(メラノーマ)細胞はチロシナーゼがあるのでメラニンを合成することができます。柿の果皮に含まれるプロアントシアニジンをメラノーマB16F10細胞に作用させると、チロシナーゼ、チロシン合成、酸化ストレスが阻害され、弱められること(3)、などが報告されています。発酵ぶどう食品をB16F10細胞と一緒に培養しますと、細胞内のチロシナーゼ活性が用量依存的に阻害されること、α-MSH (メラノサイト刺激ホルモン)で刺激されて生じる細胞内でのメラニン合成も発酵ぶどう食品により用量依存的に阻害されていることも分かりました。600 mj/cm2の紫外線をマウスの皮膚に照射することにより日焼けをさせると炎症が生じます。予め300mg/kgの発酵ぶどう食品を5日間、マウスに摂取させてから紫外線を照射しますと、皮膚炎症が有意に抑制されていました。発酵ぶどう食品が、チロシナーゼ酵素作用、チロシン合成、日焼けによる炎症を防止することを明らかにしています。さらに、AGEs修飾たんぱく質で誘導されるマクロファージのTNF-α産生も発酵ぶどう食品により抑制されます。これらの結果は論文の掲載が認められてから公表いたします。発酵ぶどう食品のどの成分がチロシナーゼ酵素の阻害、チロシン合成の阻害、日焼けによる炎症の抑制を誘導するか検討中です。また、老人性色素斑の予防についても検討していく予定です。(熊沢義雄)

  参考文献
1. Yamakoshi J, Otsuka F, Sano A, Tokutake S, Saito M, Kikuchi M, Kubota Y.
Lightening effect on ultraviolet-induced pigmentation of guinea pig skin by oral administration of a proanthocyanidin-rich extract from grape seeds. Pigment Cell Res. 16(6):629-38, 2003.
2. Cho HS, Kwak DH, Choi IS, Park HK, Kang SJ, Yoo HS, Lee MS, Oh KW, Hong JT.
Inhibitory effect of proanthocyanidin on ultraviolet B irradiation-induced melanogenesis. J Toxicol Environ Health A. 72(21-22):1475-1483, 2009.
3. Kim YJ, Yokozawa T.
Modulation of oxidative stress and melanogenesis by proanthocyanidins. Biol Pharm Bull. 32(7):1155-1159, 2009.


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