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血糖値と糖尿病


  インスリンとグルカゴン

 通常の食事をすると、ご飯やパンなどの炭水化物が消化されてぶどう糖になり、血液中のぶどう糖濃度(血糖値)が高まります。血糖値が高まると膵臓のβ細胞からインスリンが分泌され、血液中のぶどう糖を肝細胞や筋肉細胞に取り込ませ、血液中から除くようにします。ぶどう糖は細胞内でグリコーゲンに変えられ貯蔵されます。余った血液中のぶどう糖は脂肪細胞に取り込まれ脂肪に変えられて貯蔵されます。

一方、お腹が空いて血糖値が低下すると、膵臓のα細胞からグルカゴンが分泌され、肝臓に貯蔵されたグリコーゲンをぶどう糖に変えて血液中に放出します。また、脂肪細胞は蓄えていた脂肪を放出し、エネルギー源とします。

 インスリンとグルカゴンはホルモンであり、この両者のバランスで血糖値が保たれています。

  糖尿病の診断

 糖尿病はインスリンの分泌不全によるものとインスリンの働きが抑制されたインスリン抵抗性によるものとに分けられます。前者はβ細胞の機能不全によりインスリンの分泌が低下したもので1型といいます。後者のインスリン抵抗性は肥満・生活習慣病と関連があり、インスリンの分泌はあるが、その働きが抑制されたもので2型といいます。

 糖尿病の診断はどのような基準でされるのでしょうか。一般に空腹時血糖値とHbA1c値で判定します。空腹時血糖値が110 mg/dL以下であれば正常といえます。HbA1cのHbは赤血球のヘモグロビンを意味し、Hbに糖が結合したHbA1cの割合(%)で表示します。HbA1c値は過去1~2カ月の血糖値を反映しており、今では重要な診断基準になっています。血糖値が110~126 mg/dL以下の範囲、HbA1c値が5.5~6.1以下の範囲の場合は糖尿病予備軍の状態であり、医師の指導を受けることになります。血糖値が126 mg/dL以上、HbA1c値が6.1以上であれば糖尿病と診断され、治療薬の服用になります。また、HbA1c値が8以上になると合併症が起り易くなります。

   高血糖によるHbA1cの生成

 高血糖になると何故HbA1c値が高くなるのでしょうか。たんぱく質の糖化は酵素によるものと化学的に結合する2種類があります。化学的に糖がたんぱく質に結合するのはメイラード反応によって起り、反応生成物を糖化たんぱく質といいます。血糖値が高ければ高いほどこの反応は起り易いのでHbA1c値も高くなります。鉄欠乏貧血、腎不全、肝硬変などの合併例ではHbA1c値が正しく反映しないので注意が必要です。HbA1cとは別に、過去2週間の血糖値の推移をみるグリコアルブミン(GA)が測定されています。血糖値の測定時期も空腹時血糖値と食後2時間血糖値があります。

  1型糖尿病

 1型糖尿病は膵β細胞によるインスリン分泌不全が原因で発症します。これは膵β細胞のグルタミンサンデカルボキシラーゼ(GAD)に対する抗体が作られ、抗GAD抗体により細胞が破壊されたために起ります。1型糖尿病では抗GAD抗体が高頻度に検出されるので診断マーカーとなります。また、インスリンはプロインスリンとして分泌され、Cペプチド(CPR)が切断されて活性型インスリンとなりますので、Cペプチド値を測定し、この値が上昇すればインスリン分泌が改善したといえます。


  2型糖尿病

 2型糖尿病は肥満・生活習慣病が関連している疾患であり、インスリンがあっても働かない、インスリン抵抗性によって生じます。肥満になると脂肪細胞の周りに食細胞が浸潤し、炎症が生じます。この時、炎症性サイトカインの腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor α;TNF-α)が産生され、このTNF-αがインスリン抵抗性を誘導します。すなわち、TNF-αがぶどう糖を細胞に取り込むのに必要なグルコース・トランスポーターGLUT4の生成を阻害します。このためインスリンがあっても働かない「インスリン抵抗性」になります。アデイポネクチンというサイトカインがあります。アデイポネクチンはTNF-α産生を制御し、インスリン抵抗性になるのを阻害します。インスリン抵抗性になると「脂肪を分解し、脂肪酸が遊離する」反応を抑制できなくなり、遊離脂肪酸によってさらに糖の取り込みが阻害されます。従って、アデイポネクチン産生を亢進させ、TNF-α産生を制御すれば、2型糖尿病が改善されるといえます。

   軽度および境界型糖尿病

 HbA1c値が6.5%以下の軽度の糖尿病の場合は、1,5-アンヒドログルシトール(AG)値の方が食後血糖値や血糖変動を評価できると考えられています。血糖値が126 mg/dL、HbA1c値が6.1以上の糖尿病患者の場合には、医師による抗糖尿病薬を処方して貰うことにより症状の改善を図る必要があります。血糖値が126 mg/dL以下、HbA1c値が6.1以下の境界型、あるいは糖尿病予備軍の場合も医師の指導を受けますが、基本的には食事のコントロールと運動が重要です。筋肉細胞はぶどう糖をグリコーゲンに変えて貯蔵しますが、運動の際にはぶどう糖を使用してエネルギーを生産しています。運動によりぶどう糖を消費すれば血糖値とHbA1c値の上昇が抑制できます。健康維持には、エビデンスのあるサプリメントの併用も良いのではないでしょうか。

  経口糖尿病治療薬

 経口血糖降下薬は、食後高血糖改善系(α‐グルコシダ―ゼ阻害薬)、インスリン分泌促進系薬、およびインスリン抵抗性改善系に大別されます。α‐グルコシダ―ゼ阻害薬には一般名アカルボース、ボクリボース、ミグリトールがあります。インスリン分泌促進系には、即効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)、DPP4(ジペプチジルペプチダーゼ4)阻害薬、スルホニル尿素(SU)薬があります。グリニド薬には一般名ナテグリニド、ミチグリニドが、DPP4薬には一般名シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチンが、SU薬には一般名グリペンクラミド、グリクラジド、グリメピリドがあります。インスリン抵抗性改善系には、ビグアナイド薬、チアゾリジン薬があります。ビグアナイド薬には一般名メトホルミン、ブホルミンが、チアゾリジン薬には一般名ビオグリタゾンがあります。

 糖尿病治療はインスリン分泌不全によるのかインスリン抵抗性によるのかを把握して病態に合わせた薬剤を選択されています。

2011.6.9

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